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Sound of Wind Mill

思うまま 感じるまま を そのまま 言の葉や 絵の葉に のせて 気ままに 飛ばしています
奇妙な落し物-5

細い路地には 塀越しに 鬱蒼と茂った緑が影を落としていた。
その影が 立ち込める熱気を 少し 和らげていた。

二人は ゆっくりと路地を あがっていく。
一人は めんどくさそうな顔で ハンカチで汗を拭いている。
もう一人は 憮然とした顔で 
時折振り返っては 後ろの電信柱の辺りを気にしている。


ゆるい坂を登りきったら、すぐ右手に小さな交番が見えた。
中には 一人 人影が見える。
おそらく ここの交番の巡査だろう。

「すいません」

交番の重いガラス戸を 押し開けようとしていると 
巡査が すぐ立ち上がって 扉を開けるのを手伝ってくれた。

「どうも すみません」
「いえいえ」

きわめて人の良さそうな 初老の巡査である。

「まあ とりあえず どうぞ」

と二つならんだパイプ椅子をすすめられた。
二人は並んでパイプ椅子に腰をかける。


私たちの様子から 火急の用でないことを察したのか
巡査は 奥の流しへと向かう。

「外は暑かったでしょう」


戻ってきた巡査は

「まあ どうぞ」

と言って
ガラスのコップに 冷蔵庫で冷やした麦茶を入れてくれた。

冷たい麦茶は 乾いた喉を潤し
気持ちまでを ひんやりと落ち着かせてくれる。


「さて、それで どうしましたか?」

私たち二人が麦茶を飲み干すのを待って 巡査は尋ねた。



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