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Sound of Wind Mill

思うまま 感じるまま を そのまま 言の葉や 絵の葉に のせて 気ままに 飛ばしています
奇妙な落し物-12
「それは 俺の名前だ!」

「ちがうよぉ! タイチは世界で一匹(一人)だけだもん」


「俺の方が先だ! 俺はもう30年も前にその名前をもらったんだ!」

「だって タイチ 自分で 名前くわえて来たんだよ?」


青年が ぐっと 言葉に詰まる。
そう 彼は 自分の名前を落としたのだった。
どうやら タイチ(犬)はそれを 拾ったらしい。

「ちゃんと自分でくわえて来て そんで タイチの名前になったの
 だから 『タイチ』はタイチのだもん!」


青年は神妙な顔をして 少女の顔を覗き込んだ。

「だから 元は俺の名前なんだって 頼むから返してくれ」


少女は困ったように 視線を落とす。

「でも 名前は私が決めたんじゃなくて タイチが自分で手に入れたものだから・・・
 だからタイチに言って!」


犬に名前返還交渉・・・
とりあえず初めて見る光景だ。
巡査も私も ことの成り行きを興味津々で見つめる。


「おい! 俺の名前返せ!」

青年はタイチに強い口調でせまる。

タイチはことの顛末をちゃんと理解しているようだ。
「ウゥ~ガルルルル~・・・・」

返す気はさらさらなさそうだ。



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