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Sound of Wind Mill

思うまま 感じるまま を そのまま 言の葉や 絵の葉に のせて 気ままに 飛ばしています
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人間パンダ―16

涼しい夜風が、肌を撫ぜていく。

遠くで、車のクラクションが響くのが、かすかに聞こえる。

辺りは静かで、3本先の電信柱の街灯が、またたくのが見える。



は黙ったまま、また煙草に火をつけた。

煙をゆっくり吐き出すと、
白灰色の煙がゆっくりと、螺旋を描いて昇っていく。

しばらくの間、沈黙が時を支配する。




「おまえ」



がついに、口を開いた。



「俺が何者かわかるのか」


鋭い目つきでこちらを見た。

ガラス玉のように、どこまでも澄んでいて
それでいて、何も映さない瞳。




「・・・はい。・・・・パンダ・・・ですよね?」


ためらいがちに、私は答えた。

美津井は、無口のまま、こちらを見続けながら、煙草の火を消す。





「・・・・そうだ。」




やっぱりそうなんだ!

自分はまちがっていなかった!

なぜだかある種の不安感が、みるみる消えていくのがわかった。

そして、不思議な安堵感が広がった。




「やっぱり、そうなんですね?!」



興奮して尋ねた私の声に、覆いかぶさるように
は、つけ加えた。



「だが、違うとも言える。」



え?どういうことなの?

パンダとも言えるけど、パンダでもないってこと?


確かに、美津井は人間の形をしている。

だから、パンダでもあるし、パンダではないということ?



「パンダ・・・じゃないんですか?」



さらに問う私に対して、
美津井は、面倒臭そうに、冷めた声で答える。



「・・・さあな」




「だって、あなたは人間じゃないんでしょう?!」



その声に反応して、
美津井の眼が少し怒りの色を帯びる。



「じゃあ、聞くが、おまえは人間なのか?!」



なにをわかりきったことを!
馬鹿げたことを聞かれたものだ。


「あたりまえじゃない!」



「『あたりまえ』か!」


美津井は、くっくっくと
その低い声で、可笑しそうに哂った。







  人間パンダ―前置き から読む
   http://oneofwing.blog70.fc2.com/blog-entry-155.html
  人間パンダ―17 を読む
   http://oneofwing.blog70.fc2.com/blog-entry-175.html









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