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Sound of Wind Mill

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奇妙な落し物-6

初老の巡査は
半身を乗り出し、机に両腕をついて 指を組んだ状態で
こちらが話し出すのを待っている。

この人ならちゃんと話を聞いてくれそうだ。
とりあえず 私は 少し安心した。

しかし、なんと切り出したらいいものか・・・
青年の方を ちらりと見た。
青年は 自らここへ来たわけではないというオーラを放って
椅子の背にもたれて 知らん顔を決め込んでいる。


「えーと・・ですねぇ・・・」
歯切れ悪く切り出したものの なんと続けたらいいものやら。

「えーと どうも この方が 落し物をしたらしいんですよ・・」
そう言って 青年の方を もう一度ちらりと見た。
あいかわらず 青年が言葉を発する気配はないようだ。

「落し物ですか?」
巡査が 体を起こした。
座っている机の引き出しを開けて ごそごそ中を探りだす。

「あー 違うんです!」

私が 巡査をさえぎると
そらみたことかと これみよがしに 青年がため息をつく

「落し物と言いましても・・・」
やはり いざ 言葉にするとなると 言いにくいものである。

「その・・『名前』を落とされたそうなんです・・・」


「・・・・・・・」


沈黙が痛い。
巡査は ぴたりと 引き出しを探る手を止めた。

しばらくの間 沈黙が 場を支配する。


「『お名前』・・ですか?」
巡査が 確かめるように ゆっくりと尋ねる。

「・・・らしいんですよ・・・

 こちらには届いて・・ません・・よねぇ?」

自分で尋ねていて嫌になるほど 間の抜けた質問だ・・・


巡査はしばらく
目を白黒させていたが
引き出しをぱたんとしめると言った。

「今のところ お名前の落し物はありませんねぇ・・」




→奇妙な落し物-7 へ http://oneofwing.blog70.fc2.com/blog-entry-48.html
→奇妙な落し物を最初から読む http://oneofwing.blog70.fc2.com/blog-entry29.html



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2006/07/04(火) 11:32:34 | | #[ 編集]
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